研究概要 |
水溶液には吸収されずニトロベンゼンだけに吸収される波長を持つレーザー光を水溶液側から照射すれば,光は界面のニトロベンゼン側だけで吸収され,吸収された光エネルギーは無放射過程を経て熱エネルギーに変換される。従って,この熱により界面およびその周辺だけの温度を上昇させることができる。 これを液液および液膜界面のイオン移動ボルタンメトリーに拡張するため、波長が325および442nmのHe-Cdレーザー(10および50mW,金門電気(株),IK5451R-E)からのレーザー光を光学断続器により断続光とし、これを四電極式ポテンショスタット(北斗電,HA010mM1A)によって分極したニトロベンゼン-水溶液界面に照射した。断続周波数に同期した界面の温度変調場によって誘起されるイオン移動に基づく電流をポテンショスタットによって検出し、これを断続周波数を参照信号としてロック・イン増幅器によって増幅した。温度変調場によるイオン移動誘起電流を電位の関数としてレコーダ上に記録し、液液界面温度変調ボルタンメトリーを閉発する。また、ポテンショスタットからの電流信号をデジタルオシロスコープで観察し、イオン移動が単に熱的、すなわち、エントロピー駆動だけによるものかどうかも検討したい。 現在、He-Cdレーザーを購入し、電解セルを作製、ポテンショスタット、関数発生器、ロック・イン増幅器など、電気化学的な装置を組み立て測定を開始した段階である。測定計としては、第4級アンモニウムイオンを選びアルキル基の炭素数に対して温度変調場がどのように影響するかを検討中である。
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