研究概要 |
移入種であるコカナダモは日本各地に分布し、各生育地によって個体群の繁茂衰退傾向が異なることが報告されている。その原因として各生育地の環境要因の違いが考えられているが、一方で、日本では栄養繁殖のみにて増殖を行っているため、個体の持つ内在性の生育ポテンシャルの違いも一つの要因として挙げることができる。そこで、内在性ポテンシャルの一つの指標となるテロメア長を日本各地より採取したコカナダモで測定し比較することにより、各生育地における個体群の衰退とテロメア長との間に相関があるのかどうかについて検討する。平成15年度はコカナダモからの純度の高いDNA調整法及びテロメア長の測定方法の開発を行った。DNA調整法は、(1)CTAB法、(2)陰イオン交換樹脂による精製 の2つについて検討を行った。その結果、(2)の方法が比較的短時間に質の高いゲノムDNAを調整することができることが明らかになった。次に単離したコカナダモゲノムDNAを用いてテロメア長の測定に最適な制限酵素の同定を行った。4種類の制限酵素(MspI, MvaI, RsaI, Sau3AI)を用いてゲノムDNAを切断し、サザンハイブリダイゼーションを行ったところ,コカナダモのテロメア長の測定にはMvaIが適していることが明らかになった。 昨年度RAPDによって、国内のコカナダモに遺伝的変異があることが明らかになったが、より詳細な変異を検出する手段としてAFLP法の適用を検討した。64組のプライマーを用いた結果、2組のプライマーにおいて安定した変異バンドが得られ、マーカーとして利用が可能であることがわかった。 来年度は、生育ポテンシャルの差異を調査して、上記の遺伝的マーカーと組み合わせることによって、コカナダモ地域個体群の衰退とテロメア長との間の相関について検討する。
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