研究概要 |
本研究では超音波キャビテーションからの発光と酸化チタン光触媒との相互作用を利用した新しい水処理技術の開発を最終的な目的としている.平成14年度においては,主に超音波キャビテーション単独の分解効率の向上を目指した.キャビテーションの崩壊時には瞬間的に断熱圧縮となるために極めて高い温度と圧力の上昇が起こり,付近に存在する有機物質を分解することができる.より高い分解効率の実現のために,分解反応器の音場解析を行い,強い共振状態においてキャビテーションによる分解実験を行うことに成功した.有機物質としてフェノールと2,4-ジニトロフェノールを用いた.それぞれ10ppmの濃度からスタートし,超音波照射とともにこれらの濃度の変化を分光器によって測定した.同一の出力を用いても分解効率は音場によって大きく変化することが明らかになった.特に,音場解析から得られた"強い共振状態"における分解効率は,従来の超音波キャビテーションによる分解効率を大きく上回る結果となった.条件にも依存するが,従来法の5-20倍もの分解効率を実現することが可能となった.平成15年度においては,この強い共振状態において酸化チタン光触媒を励起し,さらなる分解効率の上昇を目指す.
|