研究課題/領域番号 |
14655036
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
石橋 幸治 理化学研究所, 半導体工学研究室, 先任研究員 (30211048)
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研究分担者 |
瓜生 誠司 理化学研究所, 半導体工学研究室, 基礎科学特別研究員 (80342757)
井田 徹哉 理化学研究所, 半導体工学研究室, 協力研究員 (80344026)
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キーワード | 量子ドット / 量子ホール効果 / アンチドット / スピン |
研究概要 |
高移動度2次元電子ガスに強磁場を印可すると、量子ホール効果が生じる。量子ホール状態におけるエッジ状態は散乱を受けないため長いコヒーレンスを期待できる。また、量子極限ではエッジ状態は完全にスピン偏極しているために、コヒーレント操作の対象としてのスピンとしては最適である。本研究では、量子ドットやアンチ量子ドットをGaAs/AlGaAs2次元電子ガス内に形成し、閉じこめたエッジ状態を形成し、単一のスピンのコヒーレント操作を行うことを目的としている。 本年度は、アンチ量子ドットの作製技術と回転磁界(マイクロ波)を有効に試料に照射するための試料ホルダを作製した。 (1)アンチ量子ドットの形成:2次元電子ガスを含む基板にアンチドットを形成するために、アンチドット、リードをエッチングにより製作する。リードは同時にサイドゲートとしても利用できる様に設計する。リードとアンチドットのエッジ状態間は、電子がトンネルできる程度に接近させる必要があるため、エッチングは精度よく行われなくてはならない。ケミカルエッチングがダメージの点から優れていると思われるが、エッチング形状をAFMにより評価した結果再度エッチなどの効果により高精度の制御が困難であることがわかった。現在、アルゴンイオンビームを用いたエッチングを利用してアンチドットの形成を試みている。 (2)マイクロ波照射試料ホルダの製作 スピンのESRを行うために、数十GHz程度のマイクロ波を希釈冷凍機の最先端部まで導き、電磁波の磁界成分が基板面に平行になるようにする必要がある。そこで、希釈冷凍機の最低温部まで来ている高周波同軸配線と導波管を結合したホルダーを作製し、導波管の先端に試料を対向させる構造とした。導波管は長さが数十センチメートルであるため、同軸線路との結合部で反射が生じることが考えられるため、その特性をネットワークアナライザで評価し、十分使用可能であることを確認した。
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