研究概要 |
1.超急速加熱(〜10^6 K/s)下のガラス遷移,結晶化挙動,過冷却液体域ΔTxの出現と,粘性挙動の実験的解析 直接通電加熱方式による超急速加熱(〜10^6 K/s)実験装置を試作した.本装置は,高速・大電流FETを用いた通電加熱制御装置,高速応答性に優れるPbSe熱輻射計による温度計測装置,静荷重負荷装置,応力緩和挙動測定装置より構成されている.試験片にはZr基アモルファス合金を用いた.加熱温度と試片の内部抵抗,伸び変形挙動(応力緩和挙動)の測定を超高速ディジタル記録計により行った.これらのデータから,急速加熱下の構造緩和,Tg,Tx,ΔTxの挙動を調べた.一方,円筒状試片を圧縮荷重下で急速加熱し,変形挙動を計測して粘性係数を求めた.その結果,加熱速度を1K/sから100K/sにすると,粘性係数が1/100になることが明らかとなり,急速加熱加工法のナノ成形加工への有効可能性が明らかとなった. 2.超急速加熱制御・形状転写加工装置を試作し,加工特性を調べた. 超急速加熱下での過冷却液体域ΔTxの出現を検知し,直ちに加工を行う装置を試作した.被加工材の超急速加熱には直接通電加熱法を用いた.ΔTxの検出には,過冷却液体域での粘性低下現象に伴う応力緩和挙動を利用する方法を採用した.加工工具の駆動には高速応答性に優れる電磁リニアアクチュエータを用いた.形状転写加工用金型として微細V溝形状金型を作製し,超急速加熱制御・形状転写加工を試みた.その結果,金型形状が試片に転写され,本加工法の有効性が認められた.しかし問題点として,工具が試片に接触すると同時に試片が工具(ポンチ)により冷却され,これによって十分な加工が行われないことがわかった.そこで,試片に非接触で電磁力が作用される方法を採用し,実験を行っている.引き続き平成15年度に研究を推進していく.
|