研究概要 |
従来の光造形法は、目的の立体形状を層毎に硬化し積層する方法によるものがほとんどであり、造形物表面に階段状の段差が生じるなどの限界がある。本研究の目的は、ホログラフィ立体映像を光硬化性樹脂中に再生することによって、立体形状の一括光造形の可能性を検証することである。通常使用される液状の光硬化性樹脂ではなく,室温でのゲル状固体と約80℃以上でのゾル状液体の間で可逆的変化を生じるゾル-ゲル変換型光硬化性樹脂を用いることによって,造形中の振動などに影響されない光造形が実現できる可能性を,理論、シミュレーションおよび実験を通じて検証する。 以上の目的に関して、平成14年度は以下の研究成果を得た。 1.計算機ホログラムによる光造形の基本的検討 本研究では、CAD、CGソフトウェアにより定義された立体形状データに基づき、その立体映像を再生するための干渉縞をコンピュータで計算して高解像度プロッタで印刷し、写真撮影・縮小してホログラムを作成する。再生に使用するレーザの出力や樹脂の屈折率などに基づき、ホログラム再生による共役像で得られる露光量を計算し、それによって硬化できるゾル-ゲル変換型光硬化性樹脂の検討を行なった。 2.計算機ホログラム作成ソフトウェアの設計・実装 CAD、CGソフトウェアから出力される、立体形状を三角形ファセットの集合で表現するSTLデータを読み込み、その立体映像を再生する干渉縞を計算し画像ファイルとして出力する、計算機ホログラム作成ソフトウェアを設計、実装した。 3.ホログラム撮影・再生装置の設計・製作 本研究では、ゲル状光硬化性樹脂ブロック中に計算機ホログラムをレーザ光で共役再生し、その共役像により立体形状を一括露光、光硬化する。その基礎となる、ホログラムの撮影・再生形装置を設計、製作した。
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