研究概要 |
本研究では,微小な部品の高速な運搬・姿勢制御のために,レーザ光を利用したマニピュレーションを提案しており,装置開発とその評価を目的としている. 本年度は,レーザマニピュレーションシステムの中核である,マイクロレンズの作製と評価を主として行った.Er:YAGレーザ照射によって誘起されるプラスチック基板の熱変形を利用したマイクロレンズ作製法については,すでに有効性を確かめている.作製したレンズの表面から内部にわたっての硬度測定を行い,硬度分布は一定で熱変形の影響を受けておらず,有効な集光効果を規定できることを確かめた. また,レンズの形状を測定して焦点距離,開口数(NA)を理論的に求めるとともに,可視レーザ光を入射,集光させた像を観察することで実験的にも確かめた.レンズの開口数は大きいほど光圧が高く,微小部品の保持力が大きくなるので,雰囲気流体の粘性の影響が大きくなるマイクロファクトリーにおいては重要であるが,今回作製したレンズの開口数はNA=0.45とレーザマニピュレーションに利用できると考えられる. レーザマニピュレーションの対象とする微小部材は,文献調査の結果からポリスチレンを候補としており,今後装置開発を行う.
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