研究課題/領域番号 |
14655061
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
VARANASI Murthy 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90333848)
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研究分担者 |
川原 浩一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00302175)
連川 貞弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40227484)
渡邊 忠雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005327)
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キーワード | SiC / 粒界 / 磨耗 / 湿度 / 添加元素 / 酸化・水和反応 |
研究概要 |
耐摩耗性材料として期待されている構造用セラミックス炭化珪素(SiC)の耐摩耗性向上を目的とした、SiCの粒界微細組織の最適設計に関する知見を得るために、本年度は焼結助剤としてBとCを用いたβ-SiCに、周期律上において同一周期で価数の異なるMg、Al、Pのいずれかを0.1〜1mass%添加したホットプレス材を作製し、湿度が異なる環境下でのSiCの磨耗特性を調べた。 ホットプレスSiCの粒界微細組織は、添加元素の種類に依存して変化し、粒径はP、Al、Mgの順に大きくなった。SiCの磨耗界面における破壊や劣化(水環境における酸化や水和反応)は、粒界に偏析する添加元素の種類(粒界化学組成)に依存して変化した。すなわち、Alを添加したSiCは高い摩擦係数を示すのに対して、P添加材は低い摩擦係数を示すことが明らかとなった。この結果は、Alを添加したSiCは磨耗中に生じるSiCと水との間のトライボケミカル反応が抑制され境界潤滑状態が続くのに対して、P添加材は水とのトライボケミカル反応が促進され、表面粗さがナノスケールオーダーまで減少し、境界潤滑から流体潤滑への遷移が生じたためであると考えられる。これらの知見は、脆性のために加工熱処理による組織制御ができない構造用セラミックスにおいて、化学的手法による粒界微細組織(粒界密度・粒界性格分布、粒界連結性、粒界化学組成)の制御、および耐磨耗性向上が可能であることを示している。
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