研究課題/領域番号 |
14655064
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中原 綱光 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80016625)
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研究分担者 |
田中 真二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40313332)
桃園 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70262300)
京極 啓史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70153236)
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キーワード | トライボロジー / 転がり軸受 / 給油法 / 表面エネルギー / 宇宙用機器 / 潤滑膜厚 / 界面観察 / 計測 |
研究概要 |
本研究では、宇宙環境下の摺動部へ、最小限必要な液体潤滑を給油する方法の一つとして、液体潤滑剤と給油系材料表面との間の表面エネルギーの勾配、例えば濡れ性の局所的な違い、を利用した液体輸送法について提案し、その成立条件、給油量、実用化する場合の問題点を把握し、本給油法の実現可能性を評価することを目的として、本年は大気圧下において表面エネルギー勾配をもった表面を試作し、宇宙環境下で使用されている潤滑剤をその表面に滴下したときに油膜が広がる様子の測定を行うことを目標とした。 第一の目標である「表面エネルギー勾配をもった表面の試作」では、平成14年度の研究結果より「表面コーティング」が最も現実的という結論に達したので、今年度はそのコーティグ膜の試作を行った。コーティング膜としては、DLC(Diamond Like Carbon)が強度も十分にあり、製膜時に原料ガスのメタン以外にフッ化炭素ガスを添加して、その濃度によって膜中のフッ素量を制御できるので、それを選択した。ここでは、さらに表面エネルギーを制御するために、アルゴンと酸素のプラズマに暴露した。その結果、濡れ性の異なる表面を作成することができた。そこで、試験用の表面として、表面エネルギーの異なる薄膜を帯状に配置した表面を準備した。 第二の目標である「給油状態評価」では、液滴界面の広がり状態の把握に光学顕微鏡による「気液界面観察」を,給油状態の確認にレーザー誘起蛍光法および白色光源と分光計を用いた光干渉法による「油膜厚さ計測」を試みた。その結果、液滴が試料表面を広がる様子が観察されたとともに、高分解能で表面に付着した油膜厚さを数μmから10nmの広い範囲にわたって計測することができ、表面エネルギーの異なる薄膜を帯状に配置した表面でも、液体輸送に有効であることが確認できた。
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