研究概要 |
本研究は,シリコンウェハー上に作成された微細流路内の気液二相流を自励振動させて,熱輸送の促進を行い,10^7W/m^2程度の高熱負荷に対応可能な冷却デバイスを開発することを目的とする.流路の左側を加熱,右側を冷却することにより,中央部分で気相と液相に分離するが,微細流路はマルチチャンネルを形成しているので,適度な条件を与えれば自励振動が発生し,大幅な伝熱促進効果が期待できる.本研究で開発を目指すものは半導体製造プロセスを応用して,シリコンウェハー上に50〜200mm程の寸法の流路を作成し,そこに気液二相流を流すことで自励振動を発生させようとするものである.本年度は,巾225μm,深さ120μm,長さ30mm,ターン数19のマイクロヒートパイプをシリコンウェハー上に試作し,作動流体にHCFC-141bを用いて流動可視化実験を行った.テスト部は真空容器内に設置し,対流による熱損失が生じないようにした.安定的な自励振動は発生しなかったが,非定常な流動振動により,有効熱伝導率が22.7%増加した.シリコンウェハーはアルミニウムと同程度の熱伝導を有しているので,振動による熱輸送よりも伝導伝熱が支配的である. 一方,振動流による壁面との伝熱機構を明らかにする目的で,パルス管冷凍機の数値シミュレーションも実施した.この数値シミュレーションにより,ベーシック型パルス管冷凍機におけるSurface Heat Pumpingメカニズムによる冷凍原理が明らかになった.
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