研究課題/領域番号 |
14655086
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 康次 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (70315159)
|
研究分担者 |
塚本 寛 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (50117305)
|
キーワード | メタマテリアル / フォトニッククリスタル / 熱ふく射特性 / イオンビーム集束装置 / 顕微FT-IR |
研究概要 |
自然に存在しえない特殊な物性を引き出す人工的な物質をメタマテリアルと称し、初年度はふく射特性を制御するためのメタマテリアルを設計・作製、さらに物性の測定を行った。はじめに特性制御の設計にあたり、誘電率に分布をもつ物質内での電場と磁場をマクスウェルの方程式により解くことで、電磁波の分散関係及び電磁波の伝播を求めた。最終的に誘電率の分布とふく射特性(反射率・透過率・吸収率)の関係を求め、室温付近の熱ふく射(10μm程度)の制御には、熱ふく射を担う電磁波の波長の1/4程度の大きさの周期構造が効果的であることが求められた。周期の数に関しては、4周期ほどあれば反射率をほぼ1とすることができることも計算結果として得られた。計算結果に従って、2μm程度の周期構造をもつメタマテリアルの作製をイオン集束装置(HB)により作製を行った。FIBは集束したイオンビームをサンプルに照射することで、サンプルを観察しながら任意の場所にタングステンもしくはカーボンを蒸着すること、ならびに任意の場所を削ることが可能な装置である。結果として、タングステンを下地として2×2×2μmの立方体のカーボンを、格子定数を2μmとする単純立方格子状に埋め込んだ、一辺が20μm、厚さが8μmのメタマテリアルの作製を終えた。作製したメタマテリアルが設計した熱ふく射特性をもっているか確認するため、顕微FT-IRによる計測もさらに実施した。サンプルの面積が小さいため、顕微FT-IRからの信号が弱く、正確な結果を得るまでにはいたらなかったため、現在、一辺が100μm程度のメタマテリアル製作を引き続き行っている。一方で、現在の作製方法では膨大なサンプル製作時間が必要となるため、大面積メタマテリアルの作製に適した加工法を検討している。
|