1.臨界流体中の熱伝搬モードについて理論解析を行った。短時間スケールでは温度擾乱が波として伝搬し、温度上昇の時定数が初期温度と臨界温度の差のベキ乗に比例して増加することがわかった。さらに、浮力対流の発生について解析し、熱入力後の対流発生時間および発生対流の波数が、初期温度と臨界温度の差のベキ乗に比例することがわかった。また、実験により上記結果が定性的に正しいことを確認した。 2.直流電場中の臨界二酸化炭素の振る舞いについて実験解析を行った。超臨界領域においては、電場を付与することにより、対流が抑制された。亜臨界領域においては、電場を印可した際に液体が電極に吸い寄せられ、電場を開放した直後に、液滴が生成されることを見出した。 3.臨界二酸化炭素と紫外レーザーの相互作用を利用したナノ構造作製について実験解析を行った。臨界点極近傍において、二酸化炭素が分解され、炭素粒子が生成されることがわかった。臨界点から離れると、粒子は生成されなかった。 4.臨界二酸化炭素中のアーク放電によるナノ構造作製について実験解析を行った。1気圧下の二酸化炭素中ではカーボンナノチューブが生成されるが、臨界点極近傍においては、ナノチューブとは異なるナノ構造が生成されることがわかった。 5.ベンゼンに分散させたC_<60>フーラレンを臨界二酸化炭素および臨界キセノンに注入した際に、フーラレン結晶およびクラスターが生成されることがわかった。 特に、上記結果3〜5に示すように、臨界点極近傍では新しいナノ構造が生成されるため、将来の新規ナノ構造生成方法の1つとして、臨界点極近傍状態が注目されると考えられる。
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