研究分担者 |
大瀧 保明 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50344693)
小野 貴彦 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (20312613)
石原 正 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10134016)
佐川 貢一 弘前大学, 理工学部, 助教授 (30272016)
|
研究概要 |
転倒が誘発される瞬間を捉え,床面との衝突以前に,衝突の不可避や衝突までの時間的余裕を判定できれば,衝撃を緩和して受傷を最小限に留めるような何らかの策を提案できる可能性がある.本研究課題では衝突前転倒判定のためのセンシングデバイスとアルゴリズム,身体保護のためのエアバッグ応用を試みるものである.平成14年度は衝突前転倒判定に重点を置き,計測と動作解析に関する基礎的な技術を示した. はじめに,加速度センサとジャイロを搭載した携帯型の計測装置を試作し,それを装着することにより歩行中の体幹の挙動から転倒が誘発される直前の瞬間を検出することを試みた.つまずきの検出とその後に発生する矢状面内の角速度,骨盤の回旋角速度に着目し、転倒が可避か否かの判別基準を実験的に求めた.さらに転倒が不可避と判定された時点の状態から,剛体モデルで身体を近似した簡単な物理モデルシミュレーションにより床面との衝突までの時間余裕を推定するプログラムを作成した.また加速度センサにより計測される体幹動揺周期の時間揺らぎを非線形力学系の安定性評価の観点からLyapunov指数を用いて定量する方法を示した.これにより,疲労などによる安定性の低下といった転倒リスクの増加を時系列的にモニタする方法を示した.一方で,モーションキャプチャを用いて人間の歩行動作を多体動力学的な観点から解析し,歩行安定性を解析的に取り扱うために必要となる基礎式を導出した.剛体リンクで近似した運動方程式を導き,足部と地面の間の拘束力に着目して,転倒不可避となる安定限界,および安定余裕の評価式を導出した.次年度へ向けて,転倒を模擬した実験条件を得るための振動台を新たに作製した.また,携帯型のセンシングデバイスの基本仕様を決定した.
|