研究概要 |
これまで,ロボットは滅菌できなかったこと,潤滑油を必要とするなどの理由から,手術室環境に入ることは困難であった.一方,内視鏡下の手術は腹壁に開けた小さな穴から鉗子や内視鏡を挿入し,腹腔内で手術を行う手法で患者の早期回復,退院という大きな長所を持つが,術具の操作の困難さから術者には大きな負担を強いるものとなっている.このため,ロボットを導入した手術の必要性が重要視されてきている.動物実験や臨床実験を通して,ロボットは手術室環境に入るようになり,ロボット工学の応用として,手術支援ロボットの開発はその貢献度が大きく期待され始めている. 平成14年度は,これまでの発想とは異なった観点から,アクチュエータを含めたロボットを腹壁上に配置する構造こと,マグネシウム合金による3次元形状設計を行うことにより,小型で剛性の高いロボットの開発を行った.この場合,特に滅菌性が問題となりこれを高めることを目的とし,アクチュエータ部,鉗子部とこれを結合するユニットの3つが容易に取り外し可能な構造を開発した.また,リンク駆動の能動鉗子の開発による高剛性化を行った.これはスライドする3つのリンクによって鉗子先に3自由度を与えるもので,モータの出力を効率よく鉗子先部まで伝える構造となっている.特に,リンク構造の導入により,鉗子先端部が小さくなり強度が保てなくなる傾向があるため,三脚プラットフォーム構造を用いることで,強度の高い能動鉗子の開発を行った.この機構では可動部品の数を減らし,また,切削・組立を容易にする構造にすることで強度が維持される.
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