研究概要 |
液架橋によるマニピュレーションを可能とするための条件決定手法を確立した.物質の質量は大きさの3乗に比例するのに対し凝着力は大きさの1乗に比例するので,マイクロマニピュレーションにおいては固体間凝着力が無視できなくなる.マニピュレーション用のプローブに凝着した操作対象をそのプローブから離す為に,今までに機械的方法および静電力による方法を検討してきたが,各々欠点を有するため,さらに異なる機構によるマニピュレーションも含め,メカニズムを物理的に理解しマニピュレーション可能条件域を検討する必要がある. そこで本研究では液架橋による力の大きさを理論的に検討することとした.操作対象と基板もしくは操作対象とプローブ先端の間に液体を配した状況を平面と球体およびその間に配した液体としてモデル化した.プローブや基盤は剛体と見なし,液体の静的な安定状態を求めるためにラプラスの方程式を用いた.境界条件として接触角および液体の体積を与えることでこの方程式を解くことができる. 幾何学的に取りうる形状を方程式の解として求める手法を提案した.その手法に基づき,操作対象と基板間もしくは操作対象とプローブ先端間距離を与えたときに発生する力を計算した.力,変位,体積,等の量は対象のサイズや物性値を用いて厳密に無次元化することができた.その力と距離の関係であるフォースカーブは液体の体積によって4つの種類に分類されることを明らかにした。さらに,液架橋力の大きさを無次元化体積の関数として表し,条件設定の為のダイアグラムを作成し,液架橋によるマニピュレーションにおける条件設定の手続きを明らかにした.
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