研究課題/領域番号 |
14655105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 靖 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 助教授 (30214191)
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研究分担者 |
野田 悦夫 東芝, 電力・産業システム技術開発センター, 主幹(研究職)
板垣 敏文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60242012)
桂井 誠 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70011103)
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キーワード | 磁力線再結合 / 非平衡プラズマ / イオン加熱 / 電子加熱 / プラズマ加速 / 電流シート / 可視光トモグラフィー / ベクトルトモグラフィー |
研究概要 |
磁力線再結合現象の磁気エネルギーから運動・熱エネルギーへの変換効果を人為的に制御することにより、イオン温度のみ、或いは電子温度のみが高い安価な非平衡プラズマ源の試作を3年計画で進めている。今年度は、既設の装置を改造して磁力線再結合のイオン加熱・加速効果の利用に向けた基本特性の検証を進めると共に、プロセスプラズマ発生に適した新実験装置を設計・製作した。前者については、ライン光のドップラー広がりを用いた新たなトモグラフィー計測法を開発して、72チャンネルの2次元化イオン温度計測システムを構築した。その結果、イオン温度分布の2次元画像によって、磁力線再結合のアウトフローが電流シートの下流部分から順々にイオンを加熱するプロセスを明らかにすることができた。電流シートでも異常抵抗に関与すると考えられるイオン加熱が観測されたが、アウトフロー加熱が3倍以上(縦磁場条件による)大きいことが判明した。また、電流シートと平行な縦磁場が小さくなるほどアウトフローやそれに伴うイオン加熱が大きくなる基本特性を把握し、さらにvolticityを用いた新しいベクトルトモグラフィー手法を開発して、ライン光のドップラーシフトによる2次元流速計測にもめどを付けることができた。以上の実験を基に、内部制御コイルシステムの小型化により、プロセスプラズマ発生に適した直径50cmで長さ1mの新装置の設計・製作を行なうことができた。コイル配置とコイル電流波形を最適化して、多くの電子を加熱できる扁平で大きな電流シートが形成されるように工夫を行なった。数kGの大きさの縦磁場を印加することにより、再結合した磁力線によるイオン加速効果を抑制することができる。現在、来年度に向けて新装置を用いたイオン温度のみが高い非平衡プラズマの生成実験、速度成分をそろえた加速実験を立ち上げ中である。
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