研究概要 |
まず,液体中電荷密度の連続測定法について検討した。微量な電荷密度の測定法としてはファラデーケージ法が一般的であるが,液体冷媒の全量をファラデーケージに導いて電荷密度を測定する方法は使用できないことが分かった。電荷の一部がファラデーケージの内容器壁に吸着するが,連続測定ではこの吸着分が積分されるために,測定値は現在の電荷量と吸着分の積分量の和となる。吸着率を決定できないこと,測定系のリークも加算されることにより,ファラデーケージ法では電荷密度の測定は不能である。そこで,同じ構造のファラデーケージを2個直列に接続した測定法を考案した。吸収率とリーク率が2個とも同じならば,原理的には電荷密度が測定できるのである。測定器を試作し,コロナ放電で帯電させた液体窒素中の電荷量を測定した結果,電荷の吸着率が電流に換算してpAオーダ以上ならば電荷密度の測定が可能である。 液体中の電荷が固体絶縁体表面に付着すると,絶縁体表面を伸展する沿面放電に影響をおよぼすことが推測される。その影響を評価するための基礎となる無帯電の液体窒素窒素中での沿面火花電圧をギャップ長60mm以下の範囲で,交流電圧と直流電圧を使用して測定した。絶縁体はポリオキシメチレンとフェノール樹脂である。何れの条件でも,火花電圧はギャップ長が大になれば高くはなるが,ギャップ長に対して著しい飽和性を示す。絶縁体の厚さは薄いほど火花電圧が低い。全ギャップ長範囲で直流火花電圧は交流火花電圧より高い。さらに,ギャップ長が短い範囲では直流負極性火花電圧が正極性火花電圧より低いが、ギャップ長が大になると負極性火花電圧の方が高くなる。
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