研究概要 |
本研究は、超高周波表面弾性波及びフォトニック結晶に関する研究成果を踏まえ、両者を有機的にリンクさせたダイナミック・フォトニック結晶という新しいコンセプトに基づく光学媒体を世界に先駆け創生することで、空間的に局在化したフオトンを人為的かつダイナミックに操作するという前代未聞の機能発現への基礎的性質を探求するものである。 音響光学効果を利用して、表面弾性波の強度や周波数変調によってフォトニックバンドギャップをチューニングすることができる、ダイナミック・フォトニック結晶について、その基礎的特性得るために薄膜光導波路を作製し、その光学特性を評価した。その結果、(1)LiNbO_3基板上にバッファ層としてSiO_2、導波層としてTa_2O_5薄膜を利用した薄膜光導波路を作製し、プリズムカップリング法によって導波光を確認した。導波光の確認には、He-Neレーザを光源に用いて出射光はスクリーンに投影してmラインを観測することで行う。光のプリズム外の入射角度は57゜であった。 (2)この光導波路に,1GHzのSAWを伝搬させ、SAWによる光の強度変調を試みたが、光導波路中の光減衰が大きく、光強度変化は観測するまでには至らなかった。 これらの結果は、ダイナミック・フォトニック結晶の開発までには至らなかった。現状の問題として、光導波路中の光減衰が大きいことやプリズムカップリングによる光励振効率が悪いこと、光学測定系が不十分であることなどが挙げられ、薄膜光導波路の材料や構造も見直す必要がある。
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