研究概要 |
近い将来家庭までインターネットが入り込み,ネットワークサーバ機などの機器を置く状況になる。このため,省エネタイプのサーバ機の開発が必要になる。省エネであるためには,利用されないとき電源供給を止めるなどの工夫が必要である。まず,現在普及しているサーバやパーソナルコンピュータなどの開発状況を調査し,以下のことが明らかとなった。すなわち,コンピュータの高速化の要求に伴い,パイプライン処理機構やキャッシュなどの導入によってCPUや周辺機器などのハードウエアが複雑化している。また,ソフトウエアにおいては,ネットワーク対応のunixやwindowsの開発とそれに多くの機能を付加したため,複雑化し無駄なルーティンも多くなっている。この動向は,1980年代のスーパコンピュータや大型コンピュータの開発方向を辿っているといっても過言ではない。このため,サーバ機等が休止状態から稼働状態になるまでにかなりの時間がかかり,常に稼働状態にしておかなければならない理由になっている。そこで,我々は複数の単純プロセッサによる機能分散・情報分散配置を行い,アクセスがないとき単純プロセッサの電源供給を止めるなどの工夫を行ったコンピュータシステム(サーバ機)を提案した。ここで,その単純プロセッサはハードディスクのような補助記憶装置を持たず,かつ単機能なソフトウェア(OS)を搭載したものである。また,ネットワーク接続は,従来からLSC (Loop Structured Computer)として提案してきた単方向性ループ状接続である。そして,LSCのプロトタイプ機(データフロー処理方式を実装したLSC,機能分散制御システム等)を利用して,トラヒック解析や応答特性等を進めている。以上から,本年度における成果としては,LSCをもとにした省エネタイプサーバの構成方法を確定したこと,プロトタイプ機によるトラヒック特性や応答特性などの待ち行列システムによる解析手法を確立したこと,さらに応答時間測定結果の解析手法を確立したことである。
|