研究概要 |
本研究の目的は,データを直接回路化するというこれまで無かったアイデアに基づき,飛躍的に高速な物体追跡・認識装置を実現することである.具体的なアルゴリズムとして,統計的パターン認識手法の一つである「Parzen Window法」,およびニューラルネットワークアルゴリズムの一つである「Probabilistic Neural Network」に着目し,そのハードウェア化の検討を行った.「Parzen Window法」のカーネル関数,および「Probabilistic Neural Network」の入力層ニューロンを回路化することにより,"データを直接回路化する"ことができる. 提案手法をFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて試作した.「Parzen Window法」については,画像データをFPGAによって組み合わせ回路で実現し,ナノ秒オーダの高速認識処理が可能であることがわかった.これにより,高速に物体認識ができる見通しを得た.一方,一般の画像処理はフレームレート(33ms)内で処理されるため,この処理時間を満たした上で,小型なハードウェアシステムが望まれる. これより,PNNについてはメモリLSIを一部に利用し,画像データの一部をメモリ中にストアすることで小型を目指し,試作機を開発した.また,このニューロン用のFPGA加えて画像処理用のADコンバータICや任意の画像前処理用のFPGAも搭載し,これらを1ボードに実装することができた.今後は,この前処理用のFPGAに主成分抽出回路を実装することで認識率の向上を行う.また,80万ゲートのFPGAを利用してニューロン回路を増すことで並列度を上げ,フレームレート中に処理できる画像データ数を増加させる.これにより,前処理だけではなくニューロン回路における認識率の向上を計る.
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