研究概要 |
昨年度試作した「メモリLSIを利用した小型PNN(確率的ニューラルネットワーク:Probabilistic Neural Network)ハードウェア」をベースとして,これに画像の前処理を高速に行うA/Dコンバータを実装した1ボードシステムを試作した.1ボードシステムの構成は以下の通りである. 1)80万ゲート相当のFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いたPNN(Probabilistic Neural Network)プロセッサ部 2)80万ゲート相当のFPGAとA/Dコンバータによる画像前処理用部. 3)画像入力以外(音声,加速度センセ出力など)のパターンデータにも対応できる汎用ポート. 試作機を評価した結果,フレームレート(33ms)に追従して画像認識が可能であることがわかった.また,顔画像や手形状画像を対象に本試作の認識率を評価したところ,それぞれの画像に合わせて前処理を変化させること(具体的には,標本化の精度を変えて実験を行った)により,対象とする画像認識問題毎に高い認識率を実現できることがわかった.これは,今後,前処理において再構成可能な集積回路であるFPGAを活用することでこれまでになかった画像認識システムを構築する技術につながると考えられる.以上の試作とその評価結果により,「データを直接回路化し,これを再構成可能な集積回路に実装することで,高速・高精度認識を実現する」という本研究の目的の基本が達成(実証)された. 次年度に向けて,本試作を高速追跡・認識装置に展開する計画であるが,一方で,FPGA上に他のアルゴリズムを実装し,その認識精度と認識速度を評価することも本アイデアの新たな可能性を探る上で重要な課題であると考える.
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