大規模電力システムの運用・管理・制御の高度化を進めるためには、広域情報の収集とその有効利用が重要となる。現行方式では、限られた情報を基にして電力システムの運用・管理・制御が実施されているが、本研究で提案するマルチエージェント方式により、多様な情報の収集およびその有効利用を可能とし、地理的な広がりを有する電力システムの安定化のための新たな広域安定化制御システムを構築する。本研究では、特に、提案するマルチエージェント化された電力システムの広域安定化制御方式の制御性能を検証するために各種シミュレーションによりその有用性を明らかにすることを目的として以下の検討を実施した。 (1)対象とする広域電力システムの構造を決定した。 (2)実時間シミュレーションのためのディジタルシミュレータの構築を完了した。 本シミュレータでは20機程度の発電機を有する電力システムの実時間シミュレーションが可能である。また、本シミュレータはDSPボードを実装したパーソナルコンピュータにより試作したものであり、AD/DAの入出力インターフェースを装備している。 (3)広域安定化制御システムの構築と動作確認試験を完了した。 DSPボードを実装したパーソナルコンピュータ上に実時間制御システムを構築し、擬似信号を用いた制御動作確認試験を実施した。 (4)広域安定化制御システムをマルチエージェント化した場合の基本性能評価試験を実施した。 電力システムシミュレータおよびネットワーク情報端末(NCT2000)と広域安定化制御システムをインターネットによりリンクし、インターネットを介した情報のやり取りにより提案する広域安定化制御システムの基本制御性能を検証した。
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