地理的な広がりを有する電力システムの広域的安定化制御を実現するための方式として、情報ネットワーク上に構成される機能分散型の統合化システム、すなわちマルチエージェント方式を採用した広域的安定化制御システムを提案し、その有用性をシミュレーションおよび電力系統模擬執権装置を用いた制御実験により明らかにしている。提案方式でのエージェントの構成は、地理的な広がりを有する電力システムで広域的安定化制御で必要となる情報を観測するモニタリングエージェント、モニタリングエージェントより情報ネットワークを介して配信された情報により対象となる電力システムの安定性を評価する安定度評価エージェント、さらにこの安定度評価エージェントで評価された安定度に問題のある場合にその問題を解決するための制御方策を決定する広域安定化制御エージェント、さらにこの広域安定化制御エージェントにより決定された制御方策を実施する制御エージェントとなっており、これらの各エージェントは情報ネットワーク上に分散配置され相互に情報の加工・配信を行っている。情報ネットワークを介した情報配信では、情報伝送遅延が存在するため、この伝送遅延時間が長くなった場合には制御性能が劣化することになる。本研究では、この情報伝達遅延の補償方式についても新たな提案を行いその有効性をシミュレーション、実験により明らかとしている。
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