研究概要 |
近年,筋萎縮性側索硬化症,運動ニューロン病など,進行性で,かつ死に至る神経・筋系疾患が多く見られ,その診断,治療のため運動ニューン個数・サイズ分布の計測手法の開発が非常に強く望まれている.本研究では,等尺性随意収縮時の筋電信号を用いて,運動ニューロンの個数およびサイズ分布を推定する新しい理論を提唱し,筋電信号発生のモデルの構築とモデル解析により,推定法の妥当性と推定誤差を明らかにし,臨床診断への適用可能性を示すことを目的とする.本年度は,以下の項目について研究を遂行した. (1)計測システムの構築 等尺性収縮の計測システムを構築する.筋張力,筋電図,関節角度,筋音図を計測し,計算機に格納する.そのために,多チャンネル表面電極を試作中である.本電極は,個々の使用者に適用できるように,厚さ3mmの塩化ビニールシートをベースとし,ステンレス棒を用いた電極,SN比を向上させるためのオペアンプを備えたものである. (2)推定法の構築 本研究では,等尺性収縮時および等速度運動時において,上腕二頭筋の表面筋電図を,多チャンネルアレイ電極を用いて計測した.そして,ICAとテンプレートマッチングを併用した運動単位活動波形のデコンポジションシステムを開発した.その結果,30%MVC以下の等尺性張力で計測した筋電図から,運動単位を同定することが可能であること示した.
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