研究概要 |
本研究課題の初年度に当たる本年度は,本研究の着想に関する基本的な検討を行った.すなわち長方形断面角柱の上下の前縁から噴流を噴出させる模型を製作し,噴流が渦励振にどのような効果を与えるかを実験によって調べた.角柱の断面は偏長比1対2の長方形とした.噴流は上下の前縁に開けたスリットから噴出させた.その仕組みは,模型の内部に隔室を作り,模型側面に開けた穴から隔室内に小型のACサーボモータ風洞によって空気を送り込む,というものである.本研究で用いたACサーボモータ風洞はコンピュータから制御電圧変動を与えることにより定常気流や脈動気流を発生させることができる. 本年度はまず,スリットから噴出する噴流が模型の軸方向にできるだけ一様に分布するように,模型の内部隔室構造を検討した.内部構造が異なる5種類の模型を作製して実験をした結果,ACサーボモータ風洞から内部に空気を注入する方の側面から軸に沿って遠ざかるにつれてだんだんと狭くなる方式がもっとも良い気流分布を生成できることが分かった. このような内部構造を有する長方形断面をバネつり状態にし,風洞の風路内に設置して渦励振を発生させ,風速や脈動噴流の周波数を変化させた種々の噴流を与えて渦励振が抑制される条件を調べた.その結果,(1)定常風速の噴流を与えた場合,噴流の風速がある閾値を越えると渦励振が抑制され,噴流の風速が大きいほど抑制効果が大きい.(2)脈動噴流の場合,周波数によっては定常噴流より渦励振の抑制効果が大きい場合がある.(3)脈動噴流の場合,上下のスリットから噴出させる噴流の位相が抑制効果に影響がある.等の知見を得た.これらの結果を踏まえ,次年度には渦励振抑制条件をより詳細に検討し,抑制のメカニズムを明らかにしていきたい.
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