研究概要 |
人為的に炭酸カルシウム結晶を土粒子間に生成させセメンテーションの発達を促すことにより,さんご礁石灰質堆積物の地盤工学的特性を改良することを目的として、セメンテーションの発達した堆積物の力学挙動並びに堆積物中でのセメンテーションの促進手法について検討した。 力学挙動へのセメンテーションの影響に関しては材令の影響の少ない石膏をセメント剤として用い石灰質シルトの一次元圧縮試験,せん断試験およびK_0値測定試験を実施した。それらの特性に及ぼすセメンテーションの影響は次のようである。 1.セメンテーションの発達により圧縮降伏応力は増大し,それに伴い降伏後の圧縮指数も増大する。 2.せん断中における負のダイレイタンシーはセメンテーションの発達に伴い抑制され,定体積条件下では同様に有効応力の低下が抑制され,粒子間のセメンテーションの附与によりせん断強度の改善が期待できる。 3.せん断強度定数へのセメンテーションの効果は粘着力成分の増加が著しく,一方内部摩擦角成分はほぼ一定でありシルトの場合に一致している。 4.静止土圧係数K_0値はセメンテーションの発達により減少するが,圧縮降伏応力以上の応力域ではセメンテーションの影響は消失し,その値はほぼ一定の値を示す。 炭酸カルシウム結晶の析出によるセメンテーションの発達については、炭酸カルシウム溶存液および他の混合液による結晶析出条件およびそれらによる強度試験用供試体作成の面から引き続き検討を進める予定である。
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