研究概要 |
本研究は平成14年度から3年間の申請であり、昨年度と今年度の研究成果の一部を本実績報告書の11に示した論文にとりまとめ報告した。そこでここには、この論文の目的と主な結論を示すこととする。 本論文の目的は、粒子形状を評価するために提案されている視覚印象図(円磨度に関してKrumbein,1941、角張り度に関してLees,1964が提案)と土質材料を対象として、種々の粒子形状評価指標の比較を行うことである。なお、基本的な性質を知るために、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形などの規則的な幾何学図形も対象としている。採用した粒子形状指標としては、円磨度(Krumbein)、角張り度(Lees)、細長比、球形度、中心からの距離の変動係数、残差一定次数(Schwarcz・Shane)、凹凸係数(吉村・小川)、フラクタル次元(Mandelbrot)であり、円磨度あるいは角張り度とその他の指標との比較を行った。得られた結論を要約すると次のようになる。(1)規則図形のフラクタル解析の結果、フラクタル次元によって形状の相違を表現することができる。ただし、完全な自己相似性を示さないため、対象範囲によって異なるフラクタル次元を得ることになる(2)規則図形が円磨されるに伴い、フラクタル次元の値の低下する傾向が明確に認められ、フラクタル次元の有用性を示唆している(3)円磨度あるいは角張り度と対応のよい形状指標は、残差一定次数、凹凸係数、フラクタル次元の三者であり、その他の細長比、球形度、中心からの距離の変動係数の三者とは対応が悪い(4)円磨度や角張り度の定義により、円磨された粒子には角張り度が、角張った粒子には円磨度が適用できないが、両者ともフラクタル次元との対応関係はよいため、フラクタル次元がこれらに代わり得る粒子形状指標と考えられる
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