研究課題
今年度は、以下に示す2つの項目について研究を進めた。(1)熱赤外リモートセンシングによる発熱性廃棄物の検出に関する検討熱赤外リモートセンシングにより、廃棄物処分場内の発熱性廃棄物を検出する場合にまず問題となるのが、廃棄物上に敷設された覆土の厚さである。地中の廃棄物が発熱していたとしても、覆土が厚い場合、検知することは難しい。そのため、廃棄物上の覆土の厚さと、地表面温度との関係を把握しておく必要がある。また、廃棄物の発熱により地表面温度が上昇していたとしても、日射により周囲の温度も上昇している場合、廃棄物の発熱による温度変化を検出することは難しくなる。以上を考慮し、地中の廃棄物の発熱、覆土の厚さ、日射の3要素が地表面温度に与える影響を定量的に評価するため、2次元円筒座標系の熱伝導方程式に基づく伝熱モデル作成し、シミュレーション分析を行なった。これにより、覆土厚による廃棄物の検出限界や、日射を考慮した観測条件等について考察した。さらに、実際に廃棄物の発熱が確認された処分場(2箇所)において現地調査を行い、熱赤外リモートセンシングの有効性について検討した。(2)衛星センサによる廃棄物の識別に関する検討中・高分解能光学センサを有する衛星のデータを用い、衛星センサによる廃棄物の識別能力について評価した。具体的には、廃棄物処分場あるいは廃棄物の不法投棄現場において、廃棄物(混合廃棄物、廃プラ、廃タイヤ、廃コンクリート等)の反射スペクトルデータを測定した。得られた反射スペクトルデータから、人工衛星のセンサが観測可能な波長帯(バンド)における反射率の値を抽出した。本研究では、ASTER(9バンド)、SPOT5(4バンド)、Quickbird(4パンド)の3種類の衛星のバンド値を用いた。次に、抽出したバンドごとの反射率データを用いて、スペクトルパターン分析を行い、廃棄物と裸地・コンクリート床・植生とのスペクトル分離度を評価した。この結果を衛星データに適用し、廃棄物の検出シミュレーションを行い、検出精度について考察した。
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