研究概要 |
本研究の目的は,平均高さ40〜60mの送電鉄塔頂部を利用した風速記録をベースに,九州地区での風力エネルギーの潜在マップを作成することである. 本年度は,以下の研究を実施した. 1.広域高密度風観測(NeWMeK)による121箇所の観測データを用いて,九州地区での1991年から2002年までの36ヶ月分の風速記録の中から10分間平均風速の連続記録を選定し、べき指数1/7で地上高30mに高さ補正を施した風速記録のデータベースを構築した。ただし、台風に起因する高風速データを除外した。観測点はおよそ20km四方に1カ所の配置密度を有する。 2.九州地区の年間平均風速マップを作成し、2000年と2001年のマップを比較したところ,両者にはほとんど差が見られなかった。 3.九州地区では沿岸部付近において年間平均風速の高い地域が多いが、内陸部にも高風速の地域が見られる。 4.NEDOの年間風速マップと比較すると高風速値を示す地域、とりわけ高標高地域における値の差異が顕著である。 5.NeWMeK観測点の中から高風速地点を選定し、10分間および1時間平均風向風速の日別推移,月別推移,年平均,年推移に関する情報を整理したところ,以下の所見を得た。 一般に九州では台風時を除くと夏場は比較的風速が低く冬場は高い傾向を示す。月ごとに見た風速の中央値はいずれも5m/s付近に集中し、月別による差は小さいが、風向によっては風速値に明確な差が見られ、発現頻度の高いWNW風向やE風向およびその周辺の風は風速値も他の風向に比べて高いことがわかった。
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