研究概要 |
RTK-GPSを建物応答計測に応用する観点から,その基本特性の詳細な把握,精度,群で利用する場合のネットワークの構成方法などについての検討を目的として作業を行った。今年度の研究内容は,次のように大きく2つに大別される。 1つは,都市建物群の応答のGPS一括モニタリング手法確立のためのフィージビリティスタディである。現有のRTK-GPS受信器(Leica社製MC1000)で建物群応答観測を行う際の計測誤差,計測環境,災害時の機器や通信ネットワーク,データ管理システムなどのフィージビリティスタディ,および機器や通信手段などの改良点の整理,洗い出しを行った。特に,種々の環境下でのマルティパスの問題は,都市建物群の一括計測を行う上でクリティカルな問題となる可能性があり,同種の検討を行っている海外事例についてヒアリング調査等を行った。また,RTK-GPS広域ネットワーク観測システムのための,群観測用管理ソフトの調査,検討を開始した。 もう1つは,建物設計データベースに基づく「構造的実体を持つ仮想建物モデル」の構築のための準備であり,データベースサーバ(NAS PNS-4Z640)内に立体応答解析プログラムを整備し,仮想建物モデルを構築した。対象は,実際に計測を実施している高さ108mのタワーである。当該タワーには,RTK-GPSによる変位計測のみならず,歪みゲージを主要な部材に取り付け,応答計測を行っている。また,風洞実験結果に基づいて風外力データベースを構築し,応答結果の評価に必要な情報を揃えた。
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