研究概要 |
建築物の健全性モニタリング手法の確立のため、高さ108mの実構造物の屋上にRTK-GPSアンテナ、加速度計、風速計を設置し、かつ脚部付近の外柱、内柱、斜材にストレインゲージを貼付し、強風時および地震時の応答観測を行った。さらに、RTK-GPSにより得られた変位、およびデータベースサーバ内に構築されている構造物FEMモデルの立体応答解析を併用して、構造物の部材応力のモニタリングの可能性について検討した。RTK-GPSによる変位応答と加速度計による加速度応答のパワースペクトル密度の比較、ストレインゲージにより得られた応力度と、RTK-GPSとFEMモデルのハイブリッド利用による応力度との比較などから、風応答観測に対するRTK-GPSの有効性を再確認するとともに、部材応力を通じた健全性モニタリングヘの適用可能性が示され、RTK-GPSを用いた都市建物群災害監視システム構築の基礎となる手法を確立できた。 次に、都市建物群災害監視システム構築のため、構造物の健全性をリモート監視するシステムについて検討した。また、情報公開の1つの手段として、インターネットのホームページを用いて外部に情報伝達をすることを視野に入れ、WEBサーバを構築し、RTK-GPSにより得られた変位情報を外部から閲覧およびダウンロードできるようなシステムを構築した。さらに、RTK-GPS広域ネットワーク観測システムについて調査検討し、群観測用管理ソフトReal Time Dynamics(NTTデータ)を用いることにより、LANを用いた建物群の応答観測の可能性を示した。 また,種々の形状の構造物の風洞実験結果に基づいて風外力データベースを構築し,風応答モニタリングシステム、およびコンピュータ内に構築された構造的実体を持つ建築物モデル(構造設計データベース)とともに、挙動の予測と確認が可能な都市災害監視防災システムの構築のための要素技術が整備された。
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