1.第一段階では、都市の課題をマクロにとらえるため、人口動態を把握した。1990年以降、市全体での人口は減少しているにもかかわらず、依然、郊外部での土地区画整理及び、宅地開発が進んでいることが分かり、人口は、現在でも都心部から郊外部に移動していることが明らかとなった。一方、商業統計からは、都心部、特に黒崎において販売高などの落ち込みが激しく、顧客が郊外の大規模店鋪に奪われていることが分かった。郊外部での生活は、完全に車に依存した生活であることから、都心商業地の衰退は、郊外部での大規模店鋪の立地のためである以前に、車に依存した生活を是認し、それを推進してきた都市政策にあることなどを推論した。人口の増加は今後ものぞめないことから、郊外での住宅や商業施設の立地は、これまで都心にあった様々の都市資産の衰退を招くだけでなく、新たな郊外部での必要施設への投資及び維持、管理、更新などが必要となることが予測された。 2.現在ある都市資産を評価し、新たな投資をどのように行って行くべきかの未来指針を見いだすことが本研究の目的であることから、上記の都心と郊外という位置付けの中で、既存の「都市資産」を、「資源」は、生活活動のもとになる「物資・エネルギー・労働力」とし、「基盤」は「社会基盤や都市の暮らしを支えるもの」とに分け、評価のための枠組みを作った。さらに、これらの項目で北九州市にある都市資産の抽出を行い、これらを都市政策の観点から捕らえるため、地理情報システムによるデータベース化を試みた。
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