1.昨年度の調査から、郊外部での宅地開発が進んでいることが分かり、人口は、現在でも都心部から郊外部に移動していることが明らかとなった。本年度は、GISを用い郊外型宅地開発がおこった地域と等高線を重ね合わせ、どの程度の斜面に宅地開発が行われているかを把握した。斜面に宅地がある場合、傾斜角によっては、高齢者の歩行が困難になる場合や、山際の地区では道路が狭いため市の職員や介護ヘルパーが訪問できない場合などがある。北九州市では、早くから開発された大谷地区で、斜面エレベーターを設置するなどの対応をとっているが対処療法であり、維持管理費面でも問題を抱えている。そこで、宅地開発が行われた時期とどの程度の斜面に住宅が存在するかをGIS上にプロットし、それらを重ね合わせることにより、今後、高齢化が進展する中、どの地域に斜面宅地の問題が生じるかの予測を行った。また、これらをGIS上でデタベース化した。 2.一方、黒崎地区などの中心市街地での活性化のあり方として、居住環境整備をあげ、都心商業地での人口回復が、地域商業の購買力の向上に寄与すること、既存のさまざまな都市資産の維持および有効利用に不可欠との結論を得た。具体的には、都心部、特に大量輸送交通機関の駅周囲において、居住空間を作るための高容積型再開発を進める必要があること、識者へのインタビューを行い居住人口回復のための方策として、東京神田地区の事例などが参考となることなどがわかった。
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