平成14年度は国内外における学校と地域の組織・活動連携の先進事例について現地調査を実施し、事例の整理分析を行った。国内では13事例を調査した。その結果、学習支援活動を行う主体で分類すると市民グループ(地域コミュニティ)主導型、行政主導型、学校・学校内組織主導型に3分類でき、また、支援活動の児童・生徒の学習形態との関わりから見た場合、授業参画型、団体主催活動型、学校・教員支援型に3分類できることが判明した。また、連携が進展するためには、いずれの場合においても支援活動と児童・生徒の学習活動を連携させるコーディネーターの存在が重要であること、学校側によりいっそうの開放性が求められること、が仮説的に把握された。 国外では英国およびドイツの事例を調査した。英国ではThe Ironbridge Gorge Museums(Telford)とBishops Wood Environmental Education Centre(Birmingham)の組織、活動および学習カリキュラムとの関係を把握した。どちらも民間チャリティ団体が運営し、行政、企業、民間財団が資金的な支援を行う。ドイツでは環境NGOのBund(エコステーションの運営)、環境学習プログラム実践のNGOであるNaturshule、動物を通した学習プログラム実践のNGOであるKentiti(以上、Freiburg)、「学校の庭」を実践する難聴児のためのErich Kastner-Schule、自然林学習を進める市森林局(以上、Karlsruhe)を調査した。両国とも、わが国とは義務教育制度が異なることに留意すべきであるが、わが国と比較して学習活動が市民生活に根づき、学校教育、教員を支援する組織、施設が整備されていると言える。今後、引き続きこれら事例の比較分析を進め、すぐれた点や課題の整理を行っていく。
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