北陸3県(富山県、石川県、福井県)で経済産業省の伝統工芸産地指定が得られている10都市[井波市・加賀市・輪島市・山中町・金沢市・宮崎村・鯖江市・小浜市・今立町・武生市]を対象に、平成14年度では基礎的なデータベースの作成と、事業所立地動向の分析、まちづくり施策の分析を行った。平成15年度はこれらの分析を継続し、追加調査により分析を深めることにより、伝統工芸産地の中心市街地の再生方策としてまとめた。 1.北陸3県の伝統工芸産業の概況 ・平成14年度に関連事業所の従業員数・生産額、生産・販売システム、後継者育成制度、立地などのデータベースを産地ごとに作成した。平成15年度は、これを分折しまとめを行った 2.事業所と住居の位置関係に着目した事業所形態特性と立地特性について ・平成14年度研究に引き続き、北陸で伝統工芸の中心的な役割を担っている漆器産業(輪島、山中、鯖江)を取り上げ、事業所にヒアリング調査を加え、住居と事業所との関係から立地動向とその要因を明らかにした。この結果、漆器産業3地区では職住一体型の事業所が多いため、その立地も住居の影響が大きく、またそれは業種などの産地特性とも関係しているなどの結論が得られた。これより中心部で住宅供給の立地施策と一体となった施策を行うなどの方策を述べた。 3.発信型店舗・事業所の形成プロセスとそのネットワーク組織について ・平成14年度に引き続き、漆器産業(輪島、山中、鯖江)において、来街者に対する情報発信機能を持つ店舗や来街者と直接接触するシステムを持つ発信型の店舗・事業所の成立過程やネットワーク効果について分析した。追加調査により発信型店舗の形成プロセスを比較分析し、その特性を明らかにした。またネットワーク組織の効果により、地域の総合力を高めていく施策の必要性を述べた.
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