1.地方都市中心市街地の居住の実態と特性の解明 本研究では、住民基本台帳の詳細データの提供により、家族の変化と居住の変化を同時にとらえる新しい研究手法の確立を試みた。山形県鶴岡市、福島県福島市、群馬県高崎市、香川県善通寺市を対象として研究を行った。 その結果、中心市街地は、居住年数の短い広域的な流動層の受け皿となっていること、中心市街地からの転居先にはエリアの指向性があり、従前の居住地が転居先選定にも大きな影響を与えることなどが明かとなった。 2.基盤整備事業が中心市街地の居住に与える影響 郊外部における区画整理事業による宅地供給が、中心市街地の居住にどのような影響を与えるかを、高崎市において研究した。 その結果、市内からの住み替えでは、子育て世帯の戸建て住宅への住み替えが多くみられ、住宅取得に伴う住み替えの受け皿となっていることが検証された。 3.中心商店街における営業と居住の関係と特性 中心商店街では、住居部分を郊外部に分離独立させる形態に変化しているが、営業形態の変化と居住動向の関係について、鶴岡市で研究を行った。 その結果、店舗と住宅を分離しているのは、3割を占めていること、店舗と近い距離に居住するか、主たる担い手である世代と同居している場合は、店舗と住宅を分離させても営業が継続されており、居住地と多世代での居住が営業継続の鍵となっていることが明らかになった。
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