高等教育機関において、継続的にものづくり教育を行える環境を確立することをめざし、その方法を整備することが本研究の目的である。本年度は当初の計画に基づき、石川高専建築学科の学生を対象に通常の建築設計の授業の中でワークショップ(体験型設計教育)の実験授業を実施し、その経緯を観察して重要なデータを取得した。 上記のワークショップは、本年度は課題を「公共空間に設置するベンチ」として実施した。石川高専建築学科4年生の学生43人を対象に、平成14年6月20日から7月16日までの計8回の授業において、まずは設計段階の授業が行われた。はじめに課題説明と学生のグループ分けの準備作業を経て、学生の設計エスキースとそれに対する教官の指導などを行った。それらの結果、決定した案に基づいて制作に必要な材料を発注し、同年9月3日から7日にかけて実際の制作段階の作業を行った。作業に集中できる時間が必要なほか、使用する道具類の不足から、通常の設計の授業時間だけでなく放課後や休日も利用して実際の制作にあたった。制作した作品は授業中に担当教官が講評し、通常の成績評価の対象としたほか、9月8日に行われた石川県津幡町の商工会主催の祭において市民に公開し、特に要望のあった作品について市民にモニター利用を依頼した。また、制作後には学生を対象にアンケート調査を実施し、課題に対する感想や運営上の意見などを求めた。 このように、本年度においては当初の研究計画通りに、ワークショツプ課題の第1回目を行った。年度の途中で研究代表者である川島が勤務先を異動する事態が生じたが、本研究課題は継続し、15年度についても当初の計画通りワークショップの2回目を実施する予定である。今年度の経験を基にさらに効果的な方法を検討し、次年度に向けて準備したい。
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