高等教育機関において、継続的にものづくり教育を行える環境を確立することをめざし、その方法を整備することが本研究の目的である。本年度も当初の計画に基づき、昨年度と同様のワークショップ形式の実験授業を実施し、その経過を観察してデータを取得した。ただし、研究代表者が勤務先を異動したことを発端として、昨年度と同様に石川高専の学生を対象に実験を行うことが不可能となった。そこで計画の一部を変更し、本年度の実験対象を福井工業大学の学生とした。また、昨年度は正規の設計授業として実施したが、本年度は2年生を除き任意の研究室活動の一環としてこれを実施した。2年生は設計以外の授業科目の課題として実施した。これ以外に研究計画を変更した点は特にない。 ワークショップは、本年度は課題を「公共的な室内空間に設置するベンチ」として実施した。福井工業大学工学部建設工学科建築学専攻の2〜4年生の学生計16人と、同大学院修士課程建設工学専攻の大学院生2名の計18名を対象にした。今年度は対象学生の学年が異なることを意職し、学年ごとのグループ編成を行い計6グループを決定した。平成15年10月9日から10月28日まで、学生の設計作業とそれに対する教員の指導を行った。また同年11月18日から26日にかけて実際の製作段階の作業を行った。製作した作品は、11月27日に開催した講評会において、大学外から招聘した講師2名、研究協力者である内田、研究代表者である川島、当日参加した学内教員1名の計5名により公開形式で講評し、多くの見学者を集めた。終了後に対象学生にアンケート調査を実施し、意見を求めた。 このように、本年度においてもほぼ当初の研究計画通りに、ワークショップの第2回目を行った。また、福井工業大学研究紀要において、最初の報告を発表した。
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