研究概要 |
伝統木造架構が衝撃力になぜ耐えるのかを把握するために本研究は、次のことを目的とした。 (1)襲撃載荷実験のシステムを開発 (2)襲撃載荷実験システムによる伝統木造の衝撃に対する力学的特性の把握 ・木枠と土壁の比較 ・基礎の違いによる力学的特性の差異の把握 実験結果 木枠と土壁との比較は足元固定で行う。衝撃載荷において駆動おもりの落下距離を10,20,30cmの3パターンで行ったが、おもりの落下距離が大きくなると衝突速度、衝突力が大きくなり、相対変位が大きくなる。 すべりとロッキングを見比べると、剛性がすべりのほうが大きい。荷重の最大値が、すべりが800kgf,ロッキングが1100kgf,固定が1350kgfで、固定に比べて石材支承は力が入らないようになっていると考えられる。 挙動開始とピークとの間の時間差はすべりが1から1.5[ms]、ロッキングは1.5から2[ms]であった。また。S波の柱伝達時間を求めると1[ms]となった。これより挙動開始とピークの時間差が波動伝達にかかる時間とほぼ一致した。 (1)衝撃載荷システム 駆動おもりが下に落ちて連結された台車が進んでいき、台車が壁に衝突して、試験体上部が慣性力により前に進む。この慣性力が試験体に対する衝撃力になる。 (2・1)木枠と土壁の比較 ・土壁は木枠より剛性が高い。 ・土壁の剛性は速度依存して大きくなるが、木枠の剛性は速度依存していない。 ・土壁は各コーナーがばらばらの挙動をするのを拘束する。 (2・2)基礎の違いによる力学的特性の差異の把握 ・試験体の基礎を固定しない石材支承の場合、衝撃力をあげると滑りか、ロッキングが起こる。 ・このことにより、基礎固定のときに比べて力を逃してくれる。 ・柱を伝わる波動伝播時間と衝撃載荷で生じた時間差がほぼ一定した。波動が衝撃実験において測定できた。
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