研究課題
昨年度は、初年度に大阪府下を対象とした事例分析によって、過去に築かれた都市形態の遺制を現在の都市形態から導き出す都市分析手法を開発した。本年度は、それら過去に築かれた都市的スケールでの平面形態が現在に及ぼす影響を評価し、それら過去の形態を現在の都市・建築づくりに活かす方法をデザイン手法として提示することを目指した。それらの成果は雑誌『10+1』の特集記事「先行デザイン宣言」として結実することになった(十二月)。そこでは四つのスケールの異なるデザイン手法と四つの論文、一つの討議が掲載された。主要目的であったデザイン手法の提示では、1.区画整理と過去の都市的形態との矛盾を調停するもの(「区画復元整理」)、2.いわゆるミニ開発を周辺街区に調和させるための手法(「オバケミニ開発」)、3.廃線跡という再利用しにくい都市基盤跡地の再利用計画手法(「建築の浸透圧」)、4.不要となった埋め立て工業地帯そのもののリサイクルの提言(「Fujiko」)であった。またその他に、岩波書店より刊行された岩波講座『都市の再生を考える』に、過去の形態が現在の都市に与えるメカニズムを概説した「先行形態論」を寄稿することができた。これはこの萌芽的研究が、一つの確固たる研究領域として確立しうることが示されたものと思われる。
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2004年梗概集F-2(分冊)日本建築学会
ページ: 291
ページ: 599
『10+1』INAX出版 No.37
ページ: 65-161