面内、垂直磁気記録の方式を問わず、媒体のもつ磁化ベクトルそのものを記録ビットとする方式ではなく、粒子内の磁化回転を記録ビットとする磁気記録方式について以下の研究を行った。 1)明確な磁壁を形成することなく還流磁区を形成する平板磁性粒子径の範囲を明らかにする。 2)特定の回転をもつ還流磁区を意図的に形成できる磁場印可方式を確立する。 走査ローレンツ電子顕微鏡により組織・構造と磁気構造とを同時観察・計測した。 その結果、平板Fe粒子では、50〜200nm径の粒子で磁化回転が起きていた。150nmを超えると、粒子形状にもよるが、磁区を形成する粒子が出現した。 TEM内の磁場を使って平板磁性粒子の磁化回転を制御することを試みた。すなわちTEM内で平板磁性粒子を+、-方向に75°回転し、ほぼ垂直の状態から試料ホルダーを引き抜くことで磁化の回転を制御した。 これによると+傾斜の時、-傾斜に比べ右回転粒子は20%増加していた。傾斜方向を変えることで各粒子は85%以上の確度で回転方向が反転し、操作によって回転方向が特定できることがわかった。しかし意図と反対の回転をもつ粒子もあり、その原因について研究を進めている
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