ナノ平板粒子と磁場勾配を利用して、ナノ平板粒子内部に形成される還流磁化の回転方向を制御できるかどうかについて研究を行った。まずイオンスパッタリング装置を用いて直径50ないし200nmのパーマロイ平板粒子を作製した。この状態では粒子間には数nm以上の粒子間隔があり、粒子間をまたぐ還流磁化は存在しない。この試料をTEM試料位置で70度傾斜することにより面内方向に磁場を印加し、この状態から試料を引き抜くことで磁場勾配を作り磁化回転の方向を制御可能か検証した。約150個の粒子に対し、意図した方の回転方向を持つ粒子は20%多いが、必ず逆回転の粒子も存在した。また磁化回転の反転操作を行っても回転方向の変わらない粒子も存在した。反転操作を2回線り返すと反転する可能性のある粒子に対しては80%以上の確率で回転方向を制御でき、磁場勾配を平板試料に印加しその磁場を弱めていくことで磁化回転の方向を制御可能なことが判明した。意図とは反転の回転粒子が存在する1つの説明として、回転を促すほど磁場勾配がついていないと磁場がなくなったとき、返って反対の磁化回転が誘起されることをマイクロマグネティックスを利用した計算機シミュレーションによって明らかにした。
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