研究概要 |
古紙などを炭化する過程で,植物や菌糸の生育に大切な気孔の制御が可能になった。炭化前の成形圧がマクロな気孔に大きく影響し、ミクロな気孔(1μm以下)は原料(古紙,古雑紙、柚子の絞り粕など)に依存する。炭化温度では、350℃付近で最も大きな重量減少が起き、400℃以上では重量減少は非常に少なくなる。収縮もほぼ同じであるが,重量減少温度よりやや高温側に移動している。マクロな気孔は200℃付近から生成し,400℃付近で大体生成し終わる。古紙などの炭化では、木材と異なり、生成した炭が酸性になりやすい、これは含まれる灰分の成分の影響であることが判つた。菌糸は一般に酸性を好むので菌糸の生育には望ましい。 食用きのこは、ヒラタケ,エリンギィ、シイタケが従来の生育床であるおがくずと比較して,同じように生育することが判った。同じ担子菌の仲間で、植物の根と共生して樹木の生育を助ける菌根菌も古紙炭に生育することも判った。菌根菌が生育した古紙炭をクロマツの苗の根の傍に置いて、生育状況を調べたところ、180日の生育後、十分な効果があることが判った。 古紙炭のマクロとミクロな気孔の生成機構を明らかにすることができた。この古紙炭に食用きのこ菌,菌根菌が生育することが判った。
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