研究概要 |
平成14年度は、Al-20Vol%Fe強加工in-situ複合材料について、電線としての数百℃程度の使用温度で、界面反応により劣化することはないかという点について調査を行った。TEM観察等により求めた金属フィラメントの厚み、間隔等と界面での反応性の関係についても検討した。各種物性とミクロ組織構造の相関を調べた。特に、界面反応層の有無とその影響,母相およびフィラメント相の転位組織や転位の運動様式等の点に注目して検討を進めた。 実験方法としては、平均粒径27μmのAl粉末と平均粒径45μmのFe粉末を用い、Al-20Vol%Feとなるように混合し、これを200ton油圧プレス機により一軸圧粉成形後、スウェージングを行うことで、加工歪み10.2の線材を作製した。熱処理温度を473K,573K,673Kの3段階、時間を100secから1000secまで13段階に設定して熱処理を施した。その後、マイクロビッカース硬さ測定、4端子法を用いた導電率測定、引張試験およびミクロ組織観察を行った。 DSCによるAl-20Vol%Feの臨界反応温度は692Kであり、673Kで熱処理を施した線材は短時間で脆化した。573Kで熱処理を施した線材は10ksec付近で硬さがHv100から95に低下した。また、導電率も熱処理時間の増加に伴い低下し、最終的に熱処理前の42.2%IACSから10.8まで低下した。473Kで熱処理を施した線材では機械的特性に大きな変化は見られなかった。
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