骨再生のための配向性制御アパタイトの創製

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14655259
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
• 研究分担者: 安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 講師 (60294021) ; 中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30243182)
• キーワード: アパタイト / 骨 / 再生 / 生体材料 / 結晶配向 / X線 / コロイドプロセス / 足場材料

研究概要

生体骨は、水分を除けば無機質である生体アパタイトと有機質であるコラーゲンより構成され、この生体アパタイトの結晶配向性に依存して、生体骨の力学特性等が影響を受ける。本年度は、アパタイトの配向性の生体各部位依存性を調べるため、家兎の尺骨・頭蓋骨・顎骨について微小領域X線解析法により、その結晶配向性を分析した。尺骨は長手方向にアパタイトのc軸が配列した一軸配向性を示し、頭蓋骨は平面に沿ってc軸が配列する二軸配列を示すが、顎骨はその骨形状と咀嚼荷重が相互に影響を及ぼし,複雑な配向を示すことが判明した。この配向性を利用して骨再生過程と再生に及ぼす成長因子の役割を評価した形態的に再生している場合でも、アパタイトの配向の観点から見れば必ずしもそれと連動していない。しかし、正常部分の配向が核となり、再生過程のアパタイト配向を促進する。また、b-FGF等の成長因子はアパタイト配向性の面でも促進効果があることが明らかとなったこのような、骨再生過程でのアパタイト配向性促進のための足場材料としてのアパタイト結晶の創製をコロイドプロセスで行った。そのための適正分散剤、スラリーの注入条件、加圧鋳造条件、熱処理条件を調整し、アパタイト結晶の配向性制御に成功した。

研究成果

• [文献書誌] H.Y.Yasuda, S.Mahara T.Nishiyama, Y.Umakoshi: "Preparation of Hydroxyapatite/α-Tricalcium Phosphate Composites by Colloidal Process"Science and Technology of Advanced Materials. 3. 29-33 (2002)
• [文献書誌] H.Y.Yasuda, S.Mahara N.Terashita, Y.Umakoshi: "Preparation of Porous Hydroxyapatite/α-Tricalcium Phosphate Composites by Colloidal Process"Mater.Trans.. 43. 1332-1335 (2002)
• [文献書誌] T.Nakano, K.Kaibara, Y.Tabata, Y.Umakoshi: "Analysis of Hydroxyapatite (HAp) Texture in Regenerated Hard Tissues Using Micro-Beam X-ray Diffiractometer"Tissue Engineering for Therapeutic Use. 6. 95-104 (2002)
• [文献書誌] T.Nakano, Y.Umakoshi: "Alignment and Texture of Biological Apatite Crystalities in Typical Calcified Tissues Analyzed by Microbeam X-Ray Diffractometer System"Bone. 3. 479-487 (2002)
• [文献書誌] T.Nakano, Y.Umakoshi: "Evaluation of mechanical function by preferential alignment of HAp in Hard Tissues"Tissue Engineering. 8. 163-169 (2002)
• [文献書誌] T.Nakano, Y.Umakoshi: "Change in Microstructure and Solubility Improvement of HAp Ceramics by Heat-Treatment in a Vacuum"Mater.Trans.. 43. 3105-3111 (2002)