研究課題/領域番号 |
14655260
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中山 忠親 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10324849)
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研究分担者 |
山中 伸介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00166753)
山本 孝夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00174798)
関野 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20226658)
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キーワード | シングルナノサイズ / ガス中蒸発法 / 酸素欠損 / ナノクラスター / 酸素分析 / ナノ複合体 / 透過型電子顕微鏡 / ジルコニウム酸化物 |
研究概要 |
1)前年度までのガス中多元蒸発装置に新たにスパッタ装置を組み込み、ジルコニウムあるいはチタンを蒸発したところに直接白金あるいはニッケルをスパッタで被覆する装置の改良を行った。この手法において蒸発源の配置や、導入する動的(He/O_2)混合ガスの流量、混合比、スパッタ出力等を制御することにより、所望のナノ複合形態、結晶構造、酸素欠損を有するジルコニウム酸化物あるいはこれとニッケルならびに白金を複合化した粉末を作製することに成功した。得られた成果をレター誌に掲載した。 2)材料系の選定においては、酸化物としては、これまでに水素透過能の知られている酸素欠陥を有するジルコニウム酸化物にこだわらず、より比重の軽い酸化物セラミックスを含めて種々の材料に対して低温側で水素を容易に放出するための材料系ならびに結晶構造の選定を行った結果、一酸化チタンなどの材料系でも同様の成果が期待できることを予測した。 3)材料の結晶構造ならびにナノクラスターの複合形態をTEMおよびこれに付属したEDXにより観察し、材料作製時のパラメタへフィードバックすることでナノ材料作製プロセスの最適化を行うことで、直径が10nm以下の極めて微細な結晶粒から成る酸素欠損ジルコニウム酸化物とニッケルあるいは白金の複合ナノ粒子の合成に成功した。 4)材料中の酸素欠陥に関しては、材料が極めて微細なために通常のXRD測定などで判断することは困難であったため、燃焼式の酸素分析装置により精密に測定を行った。加えて、水素吸蔵特性をPCT法により測定し、本材料が少なくとも1wt%以上の水素を吸蔵している可能性があることを明らかとした。この知見(酸化物系セラミックスが水素貯蔵能を有するという性質)は世界に類を見ないものであり、知的財産権を確保することが必要であると考えている。
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