| 研究概要 |
高融点金属であるMoは,核融合炉壁材等の超高温耐熱材料として再評価されつつあるが,結晶粒界の脆弱さに起因する再結晶脆化が依然として大きな問題となっている.本研究では,再結晶温度以下から段階的に温度を上げて内部窒化処理を行う多段内部窒化法によって再結晶化を制御したMo-Ti合金の異常粒成長現象を利用して,従来にない全く新規な高強度Mo系耐熱単結晶材料を作製することを目的とした.主な結果を以下に示す.
本年度は,多段内部窒化後の熱処理による異常粒成長挙動を詳細に検討した.Mo-Ti系合金の代表的な市販材であるTZM合金(Mo-0.5Ti-0.08Zr-0.03C)圧延材について種々の条件で多段内部窒化を行い,窒化材の再結晶温度以上である1900℃にて真空加熱することにより異常粒成長させた試料を作製した.得られた試料は非常にアスペクト比の大きい単結晶類似の長大粒組織であり,これを再び窒化処理すると,TiN粒子の再分散により析出硬化が起こることを見い出した.これらの試料の強度特性を3点曲げ試験により評価したところ,窒化処理により強化したTZM合金長大粒組織材の高温強度は窒化前の長大粒組織材の約6倍であり,非常に高温強度に優れていることが明らかとなった.
|
