研究概要 |
プラズマディスプレイパネル(PDP)や電界放出ディスプレイ(EFD)の大画面化の要請を受け、紫外線励起あるいは電子励起蛍光体製造術の開発が急がれている。青・緑・赤三原色蛍光体の厚さあたりの蛍光強度を増やしつつ、簡便に製造することが求められており、酸化物はその有力候補である。平成11〜13年度科学研究費基盤Bの成果で、Al : ZnOウイスカーに大過剰(一般的な固溶限界の三倍)のAlをドープしてもウイスカー形状を保つことを速報した。ウイスカーへの不純物固溶機構は、バルクのそれと異なるようだ。Y_2O_3 : RE(RE:希土類)材料の高輝度ウイスカー蛍光体を得て、高輝度と構造の関係を探った。現有装置の大気開放型CVD装置(蛍光体膜の作製システム)を利用してEu : Y_2O_3(赤),Tb : Y_2O_3(緑)およびTm : Y_2O_3(青)の連続多結晶膜とウイスカー集合膜を作製した。現有設備である紫外-可視蛍光分光分析装置と電子励起蛍光分光分析装置により紫外線励起・電子線励起による蛍光特性を測定し、連続多結晶体とウイスカー集合体の蛍光特性を比較したところ、ウイスカーの方で輝度が強いことがわかった。現有のラマン散乱分光装置と現有の単結晶解析用X線回折装置でドープされたY_2O_3ウイスカーの格子定数の精密決定を行ったところ、ほぼ理論どおりの格子定数の変化が得られた。Y_2O_3ウイスカーの輪切りを作り、透過型電子顕微鏡法により元素分析を行って、大過剰賦活剤の析出位置を調査したところ、内部に均一に分布していることがわかった。
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