研究課題/領域番号 |
14655286
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
林 良茂 金沢大学, 工学部, 教授 (60019750)
|
研究分担者 |
荻野 千秋 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (00313693)
清水 宣明 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 教授 (50019634)
|
キーワード | 大腸菌 / GFP / ベンゼンセンサー / DNAアプタマー |
研究概要 |
遺伝子配列は4つの塩基から構成されているだけであるが、その配列は多様な情報を伝達する事が出来、様々なタンパク質を創り出すことが出来る。しかし近年、この遺伝子配列(DNA配列)そのものの多様性を利用し、遺伝子配列を機能性材料として用いる事が試み始めている。本申請研究はこの"DNA多様性"をセンサー材料として利用し、石油化学物質・環境ホルモンによる水質汚染の評価を総合的に行うことを目的とする。準備として、現在までにベンゼン資化性微生物由来のベンゼン認識遺伝子配列を蛍光発光タンパク質と組み合わせた微生物を構築し、その発色強度より水中のベンゼン系化合物(キシレンやクロロトルエン)の濃度測定を可能にしている。これを足掛かりに、(最終的には微生物を用いずに)ベンゼン系の類似構造を持つ化学物質の分析を可能にする測定系の開発を行う。また"DNA自身"を機能材料として用いた研究は現在までは殆ど行われていない。何故なら、現在までは個々の遺伝子(DNA)配列から翻訳されたタンパク質の機能を解明するものが中心であったからである。"DNA多様性"に関する研究は遺伝子増幅技術polymerase chain reaction(PCR)法の発展に伴い次第に注目を浴びるように変化してきた。現在まで、抗体などのタンパク質をセンサーとして用いたケースは多く知られている、しかしその生産には微生物を用いた煩雑操作が必要であり、結果的に高価格であった。しかしDNAは試験管内にてPCR法にて容易に増幅させることが可能であり、工業的な側面を考えた場合に、DNA素子のセンサー化が可能であれば、そちらの方がセンサーとして経済的であると考えられる。このような背景より(1)大腸菌内でのDNA多様性を用いたベンゼン系化合物検出システム、(2)DNA自身をセンサー素子として利用し、フェノール系化合物を認識するDNAセンサーの開発を推進した。(1)に関しては環境庁指定の排出規制基準程度のベンゼン系化合物の検出が可能になったが、どの化学物質であるか物質の特定にまでは至っていない。次年度は、この点に着目して研究を遂行する予定である。(2)に関しては、DNAセンサー素子の探索条件を決定することが出来た。この探索条件にて、フェノール認識DNAアプタマーの一次的な探索も終了することが出来た。次年度は、これらのデータを基に、詳細な解析を行っていく予定である。
|