研究概要 |
熱から光量子エネルギーへの変換技術は,輻射伝熱促進またはランプによる照明として応用されている程度で,新たなエネルギー技術としての展開はほとんど見受けられない.そこで,光エネルギーとしては最も質的に高いレーザー発振を熱駆動で実現させ,その高効率化・高出力化が可能となれば,製鉄プロセスで鋼板の高温カッティングが可能となるため鋼板の熱回収が効率よく行うことができるだけでなく,精密加工等への応用も期待できる.本研究では,燃焼器,超音速ノズル,レーザー発振部,廃熱回収ボイラー部,蒸気タービン部,コンプレッサー部,発電機から成る炭化水素-空気燃焼系の多目的用ガスダイナミックレーザーを中心とした光・熱・電力のハイブリッドエネルギー変換システムを提案し,そのコアとなるレーザー発振装置の開発のための基礎研究を行う.本研究目的を達成するために,まず高負荷の多孔体バーナー型高圧燃焼装置を試作し,超音速ノズルを通して得られる燃焼ガス中の反転分布をゲイン計測から実証するとともに,高ゲイン化について量子力学的観点から実験的に検討する.本年度は,このような試験を行う上で必要不可欠となるラボスケールの3重管式高圧多孔体バーナー,マッハ4.7の最短超音速ノズル,レーザーキャビティー,超音速駆動用減圧タンクを設計,試作した.本試験装置を用いたコールドモデル試験を行い,設計通りの超音速噴流が形成されることを明らかにした.また,分子振動緩和のエネルギー収支と,等エントロピー流れに基づく圧縮性流体の断熱膨張冷却から推算される反転分布の過渡特性に関する解析を行った.
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